補聴器に慣れる
訓練方法

補聴器に慣れる訓練方法

まず音に意識を集中してください

自分が聞きたいと思う音に意識を集中して、補聴器に耳を慣らすようにしましょう。 静かなところで、時計の音など単調な音から始めましょう。初めから騒がしい場所で使ったのでは騒がしいことのみが気になってしまいます

ゆっくり、はっきり話してもらいましょう

特に訓練のときは、良い話し相手を選ぶようにしてください。早口な人、不明瞭に話す人は避けて、ゆっくり、はっきり、語尾などを濁さないように話す人が良いでしょう。こうして慣れてくれば、いろいろ な音を聞き分けられるようになります。 補聴器を使用して音は聞こえても言葉の意味がよく理解できない人が大勢います。この場合、静かな部屋で補聴器を使用して新聞やご自分の 好きな本を声を出して読み、自身の声が補聴器を通してどのように聞こえるか確認してみるのも良い練習方法の一つです。

呼びかけてから内容を話してもらいましょう

補聴器を使い始めてから1週間か10日間くらいは周囲の人にまず呼びかけてもらって、それから内容を話してもらいましょう。例えば「食事はまだですか?」と聞くときも「お母さん(一息いれて)、食事はまだですか?」と話かけてもらいます。こうすることで注意がひかれ、その後の会話に集中しやすくなります。

初めから長時間の使用は避けましょう

最初から補聴器を長時間使うとイライラしたり、疲れも大きいものです。だんだん時間を延ばすようにして、疲れたらスイッチを切って休みましょう。デリケートな内耳の神経を疲れさせないように、神経過剰や緊張を少なくすることが大切です。初めはのんびりと時間をかけて補聴器に慣れるようにしてください。

ボリュームは上げすぎない

音が大きすぎると音声に歪みが起き、かえって聞きづらくなります。会話は2m前後でちょうど良い程度にボリュームを調整し、聞きやすい、 話しやすい相手を決めて話しに慣れるようにしてください。

相手の方と向かい合って話しをしてください

話し相手とは必ず相対して会話してください。ゆっくり、はっきり話してもらい、遠くの声や低くソフトな声は慣れるまで避けるようにしてください。話し相手の人には横を向いて話したり、口や顔を手で覆わないようにしてもらってください。

いろいろな音をきいてください

次第にいろいろな音に耳を避けるようにしていきます。だんだん慣れてきたら4〜5人のグループの会話を聞き、どの人が話しをしているのか注意して、自分も会話の中に参加するようにします。

補聴器はあくまで補助器具です

補聴器は難聴の人をきこえるようにする補助器具で、難聴そのものを治療するものではありません。また、補聴器を使えばすぐに正常なきき取りができるというわけでもありません。まず補聴器に慣れることが大切です。それには多少時間もかかり、訓練が必要です。

ご家族の皆さまへのお願い

一度失った聴力を回復させるには、医学的な治療が不可能な場合、補聴器を使用することが一般的な解決方法になります。補聴器を使用すると直ちに正常な聞こえに戻ると思われている方がいますが、すぐに補聴器に慣れる人はまれで、いろいろな訓練が必要です。この訓練に本人が努力するのはもちろんですが、一番身近なご家族の皆さまに協力していただくことが何よりも大切なことです。

(1) 話しをする前に呼びかけて、注意をひいてください。そして、必ず顔を見て話しをしてください。

(2) 普通の声でゆっくり、はっきり話してください。補聴器を使用しているときに大声で話すと、かえって聞きづらくなります。

(3) 相手が理解していないとわかったときは、単に同じ言葉をくり返すのではなく、違った表現方法を使って話してください。

ご家族の皆さまの言葉次第で補聴器を使っている方をがっかりさせたり、勇気づけたりします。皆さまのご協力と温かい励ましをお願いします。